いつもでかい空とでかい海がそばにあるのに
どうしてここはこんなにも狭いんだろうかと思った。
まるで見えないガラスの半球体で覆われているみたいだ。
鳥籠みたいに柵の隙間なんてない。
よく目を凝らさないと気づけないほど透明で。
そのガラスの壁に触れた僕と触れなかった君とでは
見えている空の色は違った。
足にじゃれた波の温度も違った。
口にする言葉も欲しい言葉も。
大きな空と大きな海があるのに
ここはどうしてこんなに狭いんだろう。
彼が見ていた空の色はこんなにも青く哀しかったのだと
わたしは今知ってしまったの。
ガラス越しじゃない広い空の痛いほどの青を
僕は心の中であの頃の哀しい青に塗り替えている。